2011/03/19

デンドロビュームは丈夫な植物

今回の地震の影響で、育てているデンドロビュームが倒れたり、またそのために茎が折れたり、葉が傷ついたりという方がいらっしゃるのではありませんか。

「茎が折れてしまったがどうしたらいいのか?」、「新芽が折れてダメになったが、今年はもう花は咲かないのか?」 等々。
電話も含めて、メールなどでの問合せをたくさんいただきました。

デンドロビュームはとても丈夫な植物なので、安心してください。

茎が折れても、枯れたりしませんし、新芽が折れてもすぐ次の新芽が伸びてきます。
見栄えは悪くなるかも知れませんが、寒さで凍らせたり、暑さで高温障害になって植物細胞そのものが破壊されることがない限り、デンドロビュームが朽ち果てることはないのです。


下の写真は株元から5センチ程のところで新芽が折れたもの。


しかし、2ヶ月もすれば、このとおり新たな新芽が、しっかりと出て、折れた新芽を追い越すほどに伸びています。





デンドロビューム育種家である山本二郎が数十年前に、デンドロビュームの自生地の調査のために、タイの山岳地帯を訪れたとき、現地の山岳民族から聞いた言葉というのを今でも、良く聞かされます。

「グルアイマーイ(タイ語でランのこと)ほど厄介な植物はない。
雑草は朝抜いて乾かしておけば、夕方までには枯らせることができるが、グルアイマーイはいくら乾かしても枯れない。1ヶ月くらい乾かしておいても、水がかかると茎が太って新芽が出てくる。
小さく刻んでおくと、節ごとに新しい芽が出て数が増えてくる。
グルアイマーイを枯らせるためには、火の中に入れて焼く以外にない。」

デンドロビュームの栽培で困ったとき、難しいと思ったときにはこのことばを思い出すと良いでしょう。
折れた、傷ついたりの場合だけでなく、水やりの失敗や、植替えの失敗で根を痛めて株を弱らせることがあるかもしれませんが、自生地のデンドロビュームは肥料も無く、乾季には長期間水をもらえない場所で、強健に育ち良い花を咲かせています。

手間をかけ、水や肥料をたっぷりやれば、良い花が咲くわけではありません。
デンドロビュームの性質をよく理解し、適した自然条件、栽培環境を作ることで、デンドロビュームのもつ生命力を引き出し、本来の美しい花を咲かせてくれます。




茎(バルブ)をカットしても枯れることはありません。
葉から水分が蒸散し茎に皺が出てくると、茎(バルブ)からの水分減少を防ぐため、自然に葉を落とし、さらには子孫を残すために芽吹いてきます。

葉が黄色くなりすべて落葉してきます

はやくも芽が出てきました



挿し芽繁殖はまさにデンドロビュームの性質を利用した繁殖方法です。
このまま培養土に植え付けなくとも、1ヶ月ほど放っておくと、新芽が勝手に出てくるほどの生命力があるのです。




心配しておられた方は、少し安心していただけたでしょうか。